名前を聞いて思い浮かばなくても、タランティーノの映画にも使われた1972年の「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」と、サックスが印象的な78年の「霧のベイカー街」を聴けば、「あーあの人!」と思わず手を打つ存在のスコットランド人の自作自演家、ジェリー・ラファティの70年から82年の曲をまとめたベストです。ジェリー・ラファティが亡くなったのはこれが出た後ですが、彼の活動が活発だった時を捉えています。
イギリスのトランザトランティックというフォーク寄りのところで、コメディアンの人と組んだハンブルバムズの音楽担当だったり、ソロ第一作を作ったり、アメリカに渡ってリーバー=ストーラーのプロデュースを受けたスティーラーズ・ウィールを抜けたり戻ったり解散したり、再びソロになってディスコ全盛の時代にサタデー・ナイト・フィーバーの後を受けてトップに立ったアルバムを作ったりと、ライナーノーツに書かれた経歴はめまぐるしいです。12,3年の間に録音技術からアレンジから時代に合わせて経歴と同じく変化はしているものの、スッと通りがよい歌声といろんな音楽の要素を織り交ぜた作曲は芯がしっかりしています。
こういったものから各曲が入ったアルバムごとに触れるきっかけとして申し分のないオーストラリアの懐メロレーベル、レイヴンらしい内容です。