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アホは神の望み ハードカバー – 2008/9/24

4.3 5つ星のうち4.3 245個の評価

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素直で正直、器が大きなアホであれ!
バイオテクノロジーの世界的権威がたどりついた究極の知恵

遺伝子工学の第一人者・村上和雄教授が、神様に好かれる「アホ」な生き方を提言します。
今の世の中、みな「少しでも早く」「少しでも賢く」「少しでも無駄なく」「少しでも損をしないように」と目先のことばかり気にしているのではないでしょうか? しかし、ほんとうは眼前のことにあまりとらわれず、アホ、ボンクラ、デクノボーといわれるぐらいに生きているほうが充実した幸福な人生をおくれるのかもしれません。遺伝子工学の第一人者である筑波大学名誉教授の村上和雄氏が、自分の研究成果である遺伝子ONの話、有名な科学者の逸話、大きな悲劇から立ち直りつつある方々の話などからさまざまな例をあげ、ほんとうに豊かで幸せな「神の望むアホな生き方」とはどんなもので、どのようにたどりつけばいいのかを語ります。

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商品の説明

出版社からのコメント

「利口であるより、愚直であれ!」「役立たずで、ムダなものこそ大きな突破口になる!」「大きく深い鈍さをもて!」なんて尊敬する村上先生がおっしゃるので私はホッとし、うれしくなってしまいました。アホであるからこそ社会に貢献できる。アホであるからこそ成功する。そう信じられれば、私もこれからもワクワクと生きていけそうです。

抜粋

プロローグ アホが世界を変える

●人を救うのは「笑い」
このごろ、「日本から笑顔が減ったな」と思うのは私だけでしょうか。街を歩いていても電車に乗っていても、無表情な顔や不機嫌そうな顔つきに出くわすことはあっても、ニコニコと明るい笑みを浮かべた顔を見ることがめっきり少なくなった気がします。
 笑いは心を解放させる行為です。それが少ないということは、人びとの心から余裕が失われて、社会に緊張感や閉塞感がはびこっている証拠でしょう。いまの時代の息苦しさや生きにくさも、どうもそのあたりから発しているようです。
けれども、笑いは「力」です。
私の研究分野は生命科学ですが、むずかしい学問をしているわりには、私にはちょっとおっちょこちょいや軽薄なところがあって、専門である遺伝子と笑いの研究を、あの"お笑いのメッカ"である吉本興業と組んで大まじめに行っています。
その研究からは、糖尿病の患者さんに漫才を聞いてもらい、さんざん笑ったあとで血糖値を測る。すると、その数値がグンと下がったなどといった実験結果を得ています。つまり、笑いは薬、それも「副作用のない薬」であることがわかりはじめているのです。
笑いの効用は心の健康にも及びます。屈託のない笑顔を見ると、私たちはなんともいえない温かさや「癒し」を感じて、無条件で心を許し、ひらきたくなります。その典型が赤ちゃんの笑みです。
赤ちゃんは生まれてからしばらくたつと、だれに教えられたわけでもなく、実にやわらかい、邪気のないほほ笑みを浮かべます。エンジェル・スマイルと呼ばれる、この人生で最初の笑みは遺伝子の働きと関係があるといわれますが、言葉を覚える前に、人はまず笑う。はじめに笑いありきなのです。
むろん、この天使の笑みを見たお母さんや家族は「かわいい」と感じて、思わず笑みを返す。すると赤ちゃんはますますほほ笑むようになり、スキンシップやコミュニケーションが深まっていく。
すなわち笑いは、相手の不安や緊張をほぐし、心に潤いやおだやかさをもたらす、人の心と心をつなぐ、きわめて重要なコミュニケーションの道具なのです。また、大きな声で笑うと、私たちの「命」は揺れます。笑いは「生」の躍動でもあり充溢でもあるのです。
体の免疫力を高めてくれる薬であると同時に、心の安定剤でもある。それに接した人に幸せをもたらす幸福の種子であり、私たちの生命力を深いところで活性化してくれる動力でもある。それが笑いなのです。
したがって私には、人間を最後に救うのは笑いであるような気がしてなりません。「人はみな泣きながら生まれてくる」とシェイクスピアはいいました。それほど人が生きていくことは苦しい行為であるということでしょう。
しかし、だからこそ----どうせこの世に生きるのなら----しかめ面よりも笑顔を、泣くよりも笑うことの多い人生を選ぶ必要があると思うのです。

●「でくのぼう」という愚かで深い生き方
 こういうと、アホなことをいうな、そうそうバカみたいに笑ってばかりいられるかとお叱りを受けそうです。しかし、その「苦しいときこそ笑っていられる」ようなアホやバカが、いまこそ必要なのだということを、私はこれからこの本で述べてみたいのです。
笑いが減るのと並行するように、世の中に利口な人がふえました。頭の回転が早く、目先のことに鼻がきいて、機を見るのに敏。人に先行して、競争に強く、ムダや抜け目がなく、合理的かつ効率的で、どんな問題もすばやく解いて、決められた道を最短距離で行くことが得意。いわば、そんな人たちです。
しかし、そういう利口な人たちを見ていて気づくことがあります。一つは、その利口やかしこさのスケールがどこか「小さい」点です。
頭は切れる、学歴も高い、知識も豊富だ。しかし、ヘンに世間知らずだったり、人間関係がうまく結べなかったり、人の心の機微に疎かったり。あるいは分析は鋭いけれど視野がせまかったり、理が勝ちすぎていて柔軟性に欠けていたり。
そのために、せっかくの知性に偏りが生まれて、そのせいで頭脳や人間のスケールが小さく感じられるのです。こういう人は、人間としての容量が小さいので、挫折に弱いところもあります。ちょっとしたことでつまずき、つまずくとなかなか立ち直れない。
高級官僚や企業エリートなどの不祥事を見るにつけ、私はそうしたこざかしい知恵や知識の限界を目のあたりする思いがします。
食糧自給率が四割を割る一方で、美食飽食を満喫し、余った食べ物をどんどん捨てている。こんな「モノは栄えたが、心が貧しい」社会のあり方も、かしこいようで実に愚かであり、こざかしい人や小利口な人がふえたことの反映であるように思えます。
二つめは、利口な人は傲慢になりやすいという点です。
つまり、なまじ頭もよくて、ものがよく見えるから、そうでない人を見下したり、自分のかしこさを振りかざして、自分だけの力で生きていると思い上がる。驕りや増長におちいりやすい欠点も、頭のいい人たちにはついて回るのです。
こういう小利口な人間のこざかしさや傲慢さは、聖書のむかしから、神がもっとも手を焼いてきた人間の「愚かな罪」であり、実は、神さまがもっとも嫌うところなのです。
それなら、神が好くものは何か。これは、その反対概念を考えればいい。つまり、神の好きなものは「器の大きなバカ」「素直で正直なアホ」なのです。
たとえば宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の詩に出てくる、欲は少なく、いつも静かに笑っていて、自分を勘定に入れず、病気の子どもがいれば看病してやり、日照りのときは涙を流し、寒さの夏はオロオロ歩く−−世間からは「でくのぼう」と呼ばれながらも、まじめに、不器用に、誠実に生きていく。そんな人です。
正直で勤勉で一徹で、どこか抜けているお人よし。知識や学問は少ないが、コツコツと自分の信じる道を地道に歩み、手間や回り道を惜しまない。時代遅れで融通もきかず、利にも疎いが、ゆったりかまえて、あせらず、屈せず、くさらず。
「おれが、おれが」でなく、「アフター・ユー(お先にどうぞ)」の精神を持ち、頭はわるいが心は豊かで、わずかなことで満足できる。
 あるいは、そんなに立派でなくても、単純で感激屋で、人を楽しませるのが好きで怖さ知らず。おっちょこちょいで根拠のない自信にあふれていて、能天気でよく笑い、失敗を恐れない。ムダ話や寄り道が多く、いばらず、かざらず、かっこつけない。信じやすいが物事を決めつけず、忘れっぽいがあきらめない。
 そのせいで、「アホやなあ」「バカだなあ」、そう人からあきれられ、愛されもする人。フーテンの寅さんみたいな、愚かという「徳」を持った人。
そういう人が神からも好かれ、利口な人より時間はかかっても、大きな幸せを手に入れることができるのだと思います。
最後には、カメがウサギを追い抜くように、バカは利口を超えるところがあります。利口とは、ある範囲内において限界まで届く知性のことですが、バカやアホというのは、その限界をあっさり超えてしまうことがしばしばあるからです。
そういう、こざかしい理屈や常識の枠を超える「大きな愚かさ」。鈍いけれども深い生き方。その復権が、いまこそ必要なのではないでしょうか。

●鈍くて大きな人がいちばん遠くまで行く
私が身を置く学問の世界でも、優れた成果を上げたり、大きな発見をする人は総じて、どこか鈍いところを持っているものです。
たとえばエジソンやアインシュタインなど、後世に名を残すような偉大な科学者は学校時代、落ちこぼれの劣等性であった人が多い。アインシュタインなどは落第して不登校であった時代もあり、学校へ行ったら行ったで、物理の先生から「おまえは物理の才能がないから学科を変えたほうがいい」と烙印を押された逸話が残っています。
わが国で最初にノーベル賞を受けた中間子理論の湯川秀樹先生なども、世界的な名声を得て以降も、ご自分の"凡才"ぶりに悩んでいたふしがあります。
私の恩師のお一人で、京都大学の学長も務めた平澤興先生が、親友の間柄であった湯川先生に、「私は頭の回転が遅くて困っている」と打ち明けると、湯川先生は「私はあなた以上にそのことで困っています」とこぼされた。
さらに平澤先生が「中学、高校と私は劣等感のかたまりでした」というと、湯川先生も「まったく同じです」と答えられたといいます。
これは謙遜などではなく、お二人とも本心を吐露しあっていたのだと思います。いずれもご自身のことをけっして頭がいい人間だとは考えておらず、むしろ鈍いほうだと思っておられた。
このことはとりもなおさず、お二人が偏差値秀才ではないことを示しています。与えられた問題から最速で答えを導き出す。そういう頭の回転の速さや鋭さにおいては、お二人よりも優れた人はたくさんいたのでしょう。その点で、お二人は頭の鈍さを自認しておられた。
しかし、お二人の頭脳は鈍いかもしれないが、そのぶん「大きくて深い」のです。すみやかに一直線に解答にたどりつく、そういう秀才的かしこさには欠けていても、大きな回路をたどりながら、根っこからさらうように深くものごとを考える力が人並み外れていた。いわば思考の器が大きい「大鈍才」なのです。
湯川先生にかぎらず、ほんとうに優秀な人間には、さわれば切れるような鋭い人はむしろ少数派で、どこか大器晩成型の鈍さを持ちあわせた人間が多いものです。
やはり、ノーベル賞受賞者である島津製作所の田中耕一さんなどがいい例ですが、ふだんから目立たないおとなしい存在であり、だれも注目しないような地味な研究をコツコツと倦まず弛まず続ける。そんなこざかしさとは無縁の"凡才"タイプの人間が多いものなのです。
これは、おそらく学問研究の分野が「正解のない世界」だからだと思います。答えが一つだけしかない、あるいは用意された多くの答えの中から正しい答えを選ぶ。こういう収束型の問題には、偏差値秀才が能力を発揮します。
しかし、多くの学問分野で要求されるのは、収束型でなく拡散型の頭脳や研究です。それまでの定理や公式の当てはまらない未知の分野で、新しい答えを手さぐりしながら求めていく。自分で「問い」を発し、自分で仮説を立てて、成功と失敗をくり返しながら、研究を重ねていく。
それは用意された答えを選ぶよりも、はるかに多くの思考力や創造力を必要とする作業であり、一つの解答を得るまでには時間もかかります。
その時間がかかることが、いっけん遅い、鈍い、あるいは凡才、でくのぼうと見えるだけで、小利口な人間の軽薄さやこざかしさとは無縁のところで、こういう人は大きな知性の歯車をゆっくりと着実に回しているのです。 
安っぽくものごとを考えず、早わかりしない。鈍で重だが、深く大きく思考する。そうした人が遠回りをしながらも確かな成果を上げ、時間はかかるけれど、いちばん遠くまで行くのは、科学の世界にかぎらず、けっしてめずらしいことではありません。
格言にもあるとおり、ゆっくり行く人がいちばん遠くまで行くのです。

●神はバカ正直な人にほほ笑む
 私も鈍いことにかけては人後に落ちません。そもそも母校である京都大学にはまぐれで入ったようなものだし、研究生時代も劣等生で有名で、周囲からは「あいつはアホや」で通っていました。
レニンという血圧のコントロールに関係する酵素を世界ではじめて純化精製に成功したときも、すばらしいひらめきや劇的な発見などがあったわけではなく、鈍牛がのそりのそりと田を耕すような、ひどく手間と時間のかかる方法でやっとこさ成果にたどりついたのです。
 そのとき私は、わずか一ミリグラムの純化レニンを抽出するために、レニンがごく微量に含まれていると思われる牛の脳下垂体をたくさん集めることにしました。その数、なんと三万五千頭分。それだけ膨大な数の牛の脳下垂体を食肉センターから譲り受けてきて、それを一個一個手むきしていく(牛の脳下垂体は手の親指くらいの大きさで、栗の渋皮みたいな薄いものを被っている)という気の遠くなるような方法をとったのです。
 あたかもホルモン焼きの調理場のような様相を呈した研究室で、来る日も来る日も、冷凍されてカチンカチンになった脳下垂体をむいていく。こんな作業は、あんまりまともとはいえないし、利口な人のすることでもありません。
そうと自分でもわかっていて、しかし、私にはそれしか方法が見つからなかったし、こういうバカみたいな粘り強さや愚鈍な方法でしか手にできない成果もあることを、心の片隅で強く信じてもいたのです。
頭のいい人たちからは、「素人くさくてスマートじゃない」と陰口もたたかれたようですが、その素人には先入観にとらわれないぶん、あっさりと常識を超えていける長所があります。
 やはりノーベル賞受賞者で、免疫システムに関してそれまでの常識をくつがえす新しい発見をした利根川進先生も、出身は理学部で、もともと免疫学はズブの素人でした。
研究を続けていると、定説や教科書に書いてあることとは異なる結果が出ることがあります。なまじ専門知識のある玄人は、「教科書とちがう、自分のほうがまちがっている」と
なりますが、予備知識の足りない素人は「なんだ? おかしいぞ」と素朴な疑問を抱き、その疑問に対して、怖いもの知らずでまっすぐ向かっていきます。
利根川さんの場合もまさにそうで、その素人くさい疑問を解くべく、粘り強くなんべんもくり返し研究を続けた結果、免疫反応において多様な抗体がつくられる仕組みを遺伝子レベルで解明するという成果を上げたのです。
それは、それまでの免疫学の常識にはないことでした。玄人や専門家から見れば、鈍くてスマートじゃない素人や門外漢が前例や固定観念にとらわれず、それまでの常識を超えていく、変えていく。それは進化や進歩の歴史には欠かせないことなのです。
科学は論理や理性のかたまりだと思われがちですが、実はそんなことはなく、科学上の大発見や大発明には、非論理的な偶然やカンちがいなどが大きく寄与していることがめずらしくありません。
ある日、まちがって異なる材料を混ぜたところ、予想もしていなかった物質ができあがった−−そんなまちがいや失敗が大きな成功につながることは、科学の世界ではむしろザラにあることで、こういう偶然や直感など、およそ「科学らしくない」ことから得られる成果をナイトサイエンス(夜の科学)といいます。
これに対して、理性的で客観的、知識や論理が支配するのがデイサイエンス(昼の科学)ですが、科学というのは、この論理の世界と感性の世界を両輪として進歩してきたといえるのです。
そして感性的なナイトサイエンスに秀でていたり、敏感だったりするのは、頭のいい人よりも、素人くさくて鈍な「頭がわるい」といわれる人に多いのです。向こう見ずや怖いもの知らずで非論理的なこともアホみたいに平気でやってしまう人、「これ」と思い込んだら、それ一筋に愚直に猛進するバカ正直な人。
そういう人にこそ神は、偶然や幸運というかたちで恩寵を授けるような気がしてなりません。

●ハングリーであれ、愚かであれ!
 アホが常識を超え、世界を変えていく例は企業社会でも見られます。
 アップルコンピュータの創始者で、世界でもっとも洗練されたパソコンといわれるマッキントッシュを開発したスティーブ・ジョブズ。彼もまたけっして利口とはいえない半生を送ってきた人物のようです。
彼の人生は挫折と波乱つづきのジグザグ人生です。彼の母親は未婚の大学院生のいわゆるシングルマザーで、妊娠中から、自分では育てられないから、生まれたらすぐに養子に出すと決めていたといいます。
生まれてすぐ、母親の望みどおり養子に出され、養親のもとで育つが、せっかく入学した大学をドロップアウトしてしまう。コーラの瓶を集めて食費をひねり出すような貧乏暮らしの末に、起業したアップル社は大成功するが、よく知られているように、そのみずから起こした会社を、他の経営陣との対立がもとで追い出されてしまう。
彼は世界でもっとも有名な「落伍者」となってしまうのです。やがて再度、アップルに復帰し、世界的なヒットとなるiMACやiPODなどを開発して業績不振に陥っていた同社を再成長に導くが、その矢先、病魔に襲われてしまう−−。
そのジョブズがスタンフォード大学で行った卒業祝賀スピーチは、感動的な内容を持つものとしてインターネットを通じて広く流布されました。その最後は、「Stay hungry, stay foolish」という言葉で締めくくられています。
「ハングリーであれ、愚かであれ」−−自分自身、つねにそうありたいと願い続けてきたし、キミたち(卒業生)もそうであるよう願っていると、彼はスピーチを結んでいるのです。
スピーチやプレゼンテーションの天才としても知られるジョブズは、この言葉によって、何をいいたかったのでしょうか。
さまざまな解釈が可能でしょうが、枠にはまった優等生、みんなからほめられるようなお利口さんになんかなるな。こざかしく、小さくまとまるくらいなら、愚か者であるほうを選べ、それも、常識なんかはみ出してしまう器の大きなバカになれ。
ジョブズが若い人に贈り、自分にもいい聞かせていたのは、そういうことなのだと思います。いつも、満足せず、小利口ぶらず、一つの道をひたすら究めようとする愚かさを大切に維持するとき、その愚かさが石や岩をも砕く重く大きな武器となって、あなたを成功に導くだろう−−。
たしかにビジネスの世界でも、愚直を貫いて成功したという例は少なくないようです。愚直なのに成功したのではなく、愚直であるがゆえに成功をたぐり寄せるのです。
利益を上げることが最大目的のビジネスにおいても、ときには損得抜きで、「そんなバカなことはやめときなさい」と周りから止められるような、非合理的で向こう見ずな大決断をしなくてはならない場合があるからです。そしてその決断が、その後の流れを大きく変えることが間々あるからです。
京セラを世界的企業に育て上げた稲盛和夫さんが、KDDIをつくって電話事業に参入したとき、周囲からは「ドンキホーテが出てきたぞ」と揶揄されたといいます。当時、同事業分野は、国営事業である電電公社から民営化されたNTTの寡占状態にありました。
そこに電話事業の技術も経験もない稲盛さんたちが参入するのは、巨像にアリが挑むのに等しい。しかし、だれかがやらなければ、電話事業はいつまでも独占状態にあって競争原理が働かない。
その一途な思いから、稲盛さんはすすんで貧乏くじを引くような決断をしたのです。その愚直なばかりの決断がどのような結果をもたらしたかは、現在のKDDIの隆盛を見ればよくわかるでしょう。
こういう損得や欲得を離れた大決断は、なまじ利口で先のよく見える人にはできません。人からは「ちょっと頭のめぐりがわるいんじゃないか」と思われるような、愚直で度量の大きな人間にしかできないことなのです。
だから、器用に枝葉を伐りとる鋭いナイフのような人間であるよりも、大木を根っこから倒してしまう鈍重なナタのような人間であれ。スティーブ・ジョブズがいう「愚かであれ」とはそういう意味、つまり、「器の大きなアホのすすめ」なのだと私は思っています。

●器の大きなアホになれ−−神の望む生き方のすすめ
科学の世界はきわめて逆説的なところがあって、解明が進めば進むほど未解明な部分がふえてきます。一つの研究によって、あることが「わかる」。すると必ず、では、そのわかった部分以外のところはどうなっているのかという新しい疑問や謎が生まれてくるのです。 
つまり、わかればわかるほど、「わからない」いうことがわかってくる。私がかかわっている遺伝子についても同様で、遺伝子の仕組みや働きはいま、ものすごいスピードで解明が進んでいますが、それ以上に、わからないこともふえてきているのです。
たとえば、人間の生命のすべての働きをつかさどっている遺伝子のうち、どの遺伝子がどういう働きをしているかがわかっているのは、どう多めに見積もっても、全体の一〇%程度にすぎません。
あとの九〇%は、どんな働きをしているのかわかっていない、あるいは、どんな働きもしていないものと考えられて、そこから「ジャンク(がらくた)」などと呼ばれています。いわば、遺伝子の「でくのぼう」です。
しかし私は、そのくずやでくのぼうの部分に、大きな意味や可能性がひそんでいると考えています。いまはまだ「わかっていない」だけで、そのジャンク部分は、すでに「わかっている」一〇%の遺伝子の働きをはるかに上回る、大きく重要な働きを担う部分にちがいない。
その未解明部分は、遺伝子の未使用部分、あるいは未活動部分であって、それが何らかのきっかけによって働き出せば、私たち人間は現在有している能力よりも、はるかにすごい力を発揮できるだろう。
さらには、生命の長い進化の歴史や秘密。生命の「創造主」の存在。生命とは何か。その原初の姿はどんなもので、究極の姿はどうなるのか。それはどこから来て、どこへ行くのか。生の目的は何か。死の意味は何か----そういう「命」の原理や設計図なども、その不明部分に「暗号」として書かれているのではないか。
いずれにせよ、未解明部分の大きさはすなわち可能性の大きさで、くず扱いされ、でくのぼう視されている遺伝子のジャンク部分にこそ大きな能力が潜在しており、いっけん無用無意味に見えるものが、実はものすごく大きな意味と価値を持っている。私はそんなふうに考えている、いや、必ずそうにちがいないと確信しています。
このことを一般的にいいかえれば、アホにこそ大きな可能性がひそんでいるともいえるでしょう。だから私はジョブズにならって、以下、本書で「愚かのすすめ」を説きたいと思うのです。
私ごとになりますが、私の父は東京大学で自然地理学を学んだあと、その学問、学歴をすべて捨てて、ある宗教組織で一介の下働きとして働きはじめ、一生をその組織に尽くして人生を終えました。
世間的には、およそアホで、でくのぼうのような生き方をした男でしたが、晩年にはよく、「おれの人生は幸せだったよ」と述懐していたものです。当時の東大出といえば、末は博士か大臣かで、同級生はみんな大企業の社長とか高級官僚とか偉い学者になっている。それにひきかえ父は、田舎で組織の下足番みたいなことをしている。
だから若いうちは、同窓会に出るのにずいぶん気が引けたといいます。しかし、年をとり、同級生たちがリタイアして肩書きが外れ、みんな一人の人間に戻ってみると、信心の道を一筋貫いた自分のほうが、人間の厚みや深み、生きていることの手ごたえや充実感などにおいて、どうもみんなより優っているように思える。
「だから、おれは幸福だ」
 と負け惜しみでなく、しみじみ述べていたのです。息子の私はその父に、自分の中の愚かさを生涯かけて大切に守りとおした「愚か者の栄光」を見たような気がしました。
 ともすれば自分の中にふくれあがってくる世間並みの欲を抑え、信じる一つの道に自分の心と体を打ち込んだ。その生き方は少しもかしこいものではなかったが、それだけにこざかしさを超えて、何か大きなものに支えられ、守られながら、だれよりもたしかな生をまっとうした幸福な人間。祝福された人間。
 そういう父のような生き方、すなわち「神の望むアホの生き方」を私もめざしたいし、みなさんにもすすめたいと思うのです。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ サンマーク出版 (2008/9/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/9/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ハードカバー ‏ : ‎ 204ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4763198424
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4763198426
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 245個の評価

著者について

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村上 和雄
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筑波大学名誉教授。米国オレゴン医科大学、京都大学農学部、米国バンダービルト大学医学部等を経て、1978年より筑波大学応用生物化学系教授。同大遺伝子実験センター長、先端学際領域研究センター長等を務め、99年に退官。83年に高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に初めて成功、世界的な注目を集める。90年、マックス・プランク研究賞、96年、日本学士院賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『そうだ! 絶対うまくいく! 幸せ遺伝子オンになる生き方 (ISBN-10: 4569668755)』が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2023年5月11日に日本でレビュー済み
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利他の心、自然に、宇宙に、委ねる感じがします。村上和雄博士は、遺伝子研究からそういう宇宙からのメッセージをキャッチされたのでしょう。アホは、ある意味利他の心の持ち主ですね。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年3月5日に日本でレビュー済み
エデンの園はい!やらされているみんなはい!時間がないから時中しろだそうだ運命なんだろはい今村悠樹だぞうん知らんからトラブルあるアダルトとマーケティングはいなんで商品エンターテイメントとか抜かすシンプル禅か?はい認知心理学は認知心理学はいの勉強法もっているはい
2022年10月6日に日本でレビュー済み
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個人的にスピリチュアルが好きなので、読んでて面白かったです。
今までの自分、これからの自分の在り方を見つめ直して、しっかり行動しようとおもいました。
毎日の出来事の中に、ポジティブな面を発見して人生を楽しんでいきます。
ありがとうございました(^^)
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2011年10月9日に日本でレビュー済み
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今自分の得ている情報だけで賢く生きるよりも周囲の人からアホかいなと言われたとしても自分の気持ちに素直な生き方をした方が大きな成果を残すことができるし、満足も大きいということを教えてくれる本です。

著者の研究生活を通してそういう事例を紹介してくれます。

周囲を気にして手堅い生き方をしているけどなぜか満足できないという人にオススメの本です。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年7月24日に日本でレビュー済み
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その通りだと思う
2021年7月21日に日本でレビュー済み
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内容が、分かり易い文章で書かれており、行動する時のよい指標になる。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年5月26日に日本でレビュー済み
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実直であり継続できる力はだれもがもっているものではない、間違いないなく魅力であることに気づかせてくれる。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年5月20日に日本でレビュー済み
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現代人が失いつつある謙虚さ、自然に対する慈しみと一体感を訴えているところは考えさせられる
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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