2009年の新型インフルエンザ騒動についての経緯及び感染症の必要最低限の常識をわかりやすく解説。
最近、テレビの討論会でスタジオの空気や他ゲストからの攻撃にもめげず堂々と持論を述べていたことに興味をそそられ本書を手に取る。ずいぶん官僚体制に苦労をさせられてきたらしいが、科学的な主張を曲げずに闘ってきたことは深い敬意を覚えます。内容的には、騒動における厚労省内部のドキュメンタリーをもっと詳しく著してもよかったのかなと思うけど、そのあとの疫学の基礎知識を解説しており、むしろ国民への啓蒙の書と位置付ければ、好著といえる。欲を言うと、もう少し感染症関連の統計があればなお説得力を増す。
この本が指摘している日本における感染症の問題が、コロナ禍の現在、まったく何一つ解決していないことには深く驚く。だからコロナ禍の現在に対する警告の書としても十二分に通用する。
感情に支配され浮遊する世論、これに迎合し煽る巨大メディアを相手に怯むことなく正論を主張し続ける筆者の姿勢はまことに尊敬に値する。現代の必読書です。

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厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書) 新書 – 2009/12/17
木村 盛世
(著)
官製パニックはこうして作られた! 人権無視の異様な検疫風景、マスクなしでは街も歩けない風潮、泣き崩れる校長……。あのパニックを作ったのは厚労省幹部だった! 現役医系技官がその構図と真の問題点を鋭く分析。(講談社現代新書)
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/12/17
- ISBN-104062880261
- ISBN-13978-4062880268
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/12/17)
- 発売日 : 2009/12/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4062880261
- ISBN-13 : 978-4062880268
- Amazon 売れ筋ランキング: - 884,626位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,462位講談社現代新書
- - 107,501位暮らし・健康・子育て (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年6月29日に日本でレビュー済み
2010年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ただ新型というだけで異常なほどに騒ぎすぎだった新型インフルエンザ。
今になれば当初のあの物々しさは一体なんだったの?というほど
普通の疾病になっています。
的確な情報を提供してこなかった厚労省と世論を煽ったマスコミにその
責任はあると思いますが、この本は前者のお粗末さを主体にパニックの
裏側を暴露します。
著者は医師免許を持ちアメリカで修士号を取得し、結核予防会、厚労省
の情報統計部、そして現在羽田空港内の厚労省検疫官という少々変わった
経歴をもつ医系技官です。よっていわゆる内部告発です。
組織に意見しその膿を世に露わにし、組織のいじめや妨害を受け、
閑職に干されさがらも科学的な正論を言う姿勢に敬服します。
日本的な慣習や協調あるいは組織のルールに対し、正論を振りかざすのは
大人げないと思われがちな日本。厚労省だけでなくすべての役所・民間
企業あるいは地域社会でも同様な異端児潰しは組織的にあるのではないで
しょうか。なんでもアメリカ的な合理主義が良いとは思いませんが、
国民の健康・生活や権利に直結する厚労省だけに、机上の空論や役人慣習
でなく科学的根拠に基づいた危機管理体制を構築して欲しいと願います。
ただ内容的にはやや散漫な感じがする箇所があるのと、途中、疫学に
ついて一般人にはわかりにくい話がやや多い気がするのと、厚労省に対し
やや感情的な表現が多いのが少々気になります。
今になれば当初のあの物々しさは一体なんだったの?というほど
普通の疾病になっています。
的確な情報を提供してこなかった厚労省と世論を煽ったマスコミにその
責任はあると思いますが、この本は前者のお粗末さを主体にパニックの
裏側を暴露します。
著者は医師免許を持ちアメリカで修士号を取得し、結核予防会、厚労省
の情報統計部、そして現在羽田空港内の厚労省検疫官という少々変わった
経歴をもつ医系技官です。よっていわゆる内部告発です。
組織に意見しその膿を世に露わにし、組織のいじめや妨害を受け、
閑職に干されさがらも科学的な正論を言う姿勢に敬服します。
日本的な慣習や協調あるいは組織のルールに対し、正論を振りかざすのは
大人げないと思われがちな日本。厚労省だけでなくすべての役所・民間
企業あるいは地域社会でも同様な異端児潰しは組織的にあるのではないで
しょうか。なんでもアメリカ的な合理主義が良いとは思いませんが、
国民の健康・生活や権利に直結する厚労省だけに、机上の空論や役人慣習
でなく科学的根拠に基づいた危機管理体制を構築して欲しいと願います。
ただ内容的にはやや散漫な感じがする箇所があるのと、途中、疫学に
ついて一般人にはわかりにくい話がやや多い気がするのと、厚労省に対し
やや感情的な表現が多いのが少々気になります。
2009年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、羽田空港検疫所に勤務する厚労省検疫官。
「官制パニック」と帯は過激ですが、内容のほとんどは真面目な考察。
テレビを連日賑わした「無意味な空港検疫」と、「厚労省」には手厳しいですが。
現在(2009年12月)、新型インフルエンザは患者数が減少してきています。
当初の過剰とも思える報道も、現在はワクチン優先接種などの地味なものに。
必要なことは、今回の対応を厚労省・マスコミ・学会・医療機関等で振り返ること。
そして強毒型流行時の対策を、より良きものにすることではないでしょうか。
「官制パニック」と帯は過激ですが、内容のほとんどは真面目な考察。
テレビを連日賑わした「無意味な空港検疫」と、「厚労省」には手厳しいですが。
現在(2009年12月)、新型インフルエンザは患者数が減少してきています。
当初の過剰とも思える報道も、現在はワクチン優先接種などの地味なものに。
必要なことは、今回の対応を厚労省・マスコミ・学会・医療機関等で振り返ること。
そして強毒型流行時の対策を、より良きものにすることではないでしょうか。
2010年4月16日に日本でレビュー済み
前作よりも今回はH1N1-Swine Fluの実際をreferした分だけ読みやすくなった。第1章は新型Fluと厚労省迷走記、第2章が著者が鋭く指弾する「行動計画」、第3章はSwine Fluの初動体制、追跡調査、学校閉鎖、マスク、タミフル、ワクチン等々具体的な公衆衛生学。第4章は疫学の基礎知識という著者専門分野。記述内容は非常に難しい。第5章は「これからのインフルエンザ流行に備えて」で良く書けている。ただ本書は良い点と悪い点との混在が非常に残念だ。まず本書は第3・4・5章で出版すれば良かった。一方で第1章は相も変わらず著者自身の不遇、検疫所と本省の人事、医系技官の危機管理能力のなさ、臨床経験のなさ、公衆衛生学のプロ不在につき舌鋒鋭い批判を展開する。第2章は御用学者との馴れ合い、医系技官のコンプレックス、無意味な空港検疫等々、あたかもTVタックル出演発言の如く続く。検疫所ポストは左遷ポスト、いるのは上司と衝突した組織の問題児、精神的に問題の人間、出世街道を捨てて定年間近職員の集まり、キャリアとノンキャリの違い、本省ではない検疫所採用事務官の昇任の限界等々の表現は、我々読者は正直言って聞きたくない。著者は本省中途採用とのことだから検疫所の職員にも失礼だろう。巻頭に「本書を亡き恩師、Dr.George Comstockに捧ぐ」としているが博士も聞きたくなかったはずだ。それより著者の専門性から、これからの水際作戦と危機管理と国内同時対応をどうすべきか、「行動計画」はどうあるべきか、公衆衛生学のプロ養成の最善策は何か、検疫法や感染症法がダメなら、危機管理感染症法をどう立法化すべきか、地方自治体に任せ柔軟な対応可能な体制作り、バイオテロ、生物化学兵器、人類滅亡への道、こういうissuesについてより膨らませて聞きたかった。次回は是非に「著者自身の不遇・不満」、「医系技官と公衆衛生学プロ養成」、「危機管理」等に分冊しての出版を期待する。
2010年1月24日に日本でレビュー済み
疫学・生物統計の知識・考えに基づく科学的でまっとうな感染症対策を早急に行うべし、全うな意見が通らない職場はおかしいという筆者の主張はあたりまえだしよく理解できる。しかし、厚生労働省内部の実情を暴露したいのか、感染症対策について啓蒙したいのか、どっちつかずの内容になっていると思う。次回以降は的を絞った編集・出版をして欲しい。
2009年12月30日に日本でレビュー済み
09年世界をそして日本を襲った「新型インフルエンザ狂想曲」から何を学ぶのかの視点から本書を読むことをお勧めしたい。
著者の木村盛世氏は、現職の厚労省検疫官であり米ジョンズ・ホプキンズ大学で公衆衛生学・疫学を学んだ医師である。その木村氏が観察し巻き込まれた厚労省の迷走とキャリヤ採用の医系技官の無知と技官集団の権益維持を優先した行動が赤裸々に描かれる。
木村氏は、本書で読者に疫学の解説・啓蒙を試みる。この試みは、情報操作に踊らされるメディアと国民に対し、科学的な見方と思考の方法を提供する。
本当に恐れなければならない「バイオテロ」や強毒性の「新型インフルエンザ」の出現の前に、行政・メディア・国民が疫学へのスタンスを変えなければならない。
木村氏の今後の厚生労働省内での処遇とともに、注目して頂きたい一冊です。
著者の木村盛世氏は、現職の厚労省検疫官であり米ジョンズ・ホプキンズ大学で公衆衛生学・疫学を学んだ医師である。その木村氏が観察し巻き込まれた厚労省の迷走とキャリヤ採用の医系技官の無知と技官集団の権益維持を優先した行動が赤裸々に描かれる。
木村氏は、本書で読者に疫学の解説・啓蒙を試みる。この試みは、情報操作に踊らされるメディアと国民に対し、科学的な見方と思考の方法を提供する。
本当に恐れなければならない「バイオテロ」や強毒性の「新型インフルエンザ」の出現の前に、行政・メディア・国民が疫学へのスタンスを変えなければならない。
木村氏の今後の厚生労働省内での処遇とともに、注目して頂きたい一冊です。
2010年1月12日に日本でレビュー済み
新型インフルエンザ騒動を見ていて、厚労省の機能不全はある程度予想していましたが、これ程とは。
もう一回明治時代に戻った気持ちで、外国の優れたところは謙虚に学ぶという姿勢が、日本全体に必要なのかもしれません。
著者は、平成のサムライもしくは、志士といった感じです。刀でなく、疫学・科学で戦います。
もう一回明治時代に戻った気持ちで、外国の優れたところは謙虚に学ぶという姿勢が、日本全体に必要なのかもしれません。
著者は、平成のサムライもしくは、志士といった感じです。刀でなく、疫学・科学で戦います。
2010年1月30日に日本でレビュー済み
H1N1豚インフルエンザが「新型インフルエンザ」と<改名>され、強毒型鳥インフルエンザと意図的にか意図に反してか混同され、無益な「水際作戦」と悪質な患者=危険人物というスティグマ化が大騒ぎで行われ、マスクが売り切れまくり、挙げ句は新型インフルエンザの窃盗事件までがおきました。らい予防法などという恥ずべき法律が最近まで現役だった国だけのことはあります。
さて、このパニックの最大の元凶は厚生労働省であり、この本は同省の対応を厳しく批判しています。その点得難い本でありますが、他のレビューにもあるとおり、散漫な印象は拭えません。
1a. 厚生労働省のお間抜けな実態
1b. 「新型インフルエンザ」対策のお粗末さ
2. 疫学/公衆衛生学の基礎
3. バイオテロを含んだ感染症に対する対策
の三つ(四つ)がおおよそこの順序で並べてあります。本来なら、少なくとも2と1は順序が逆で、厚労省のお役人がアマゾンやにちゃんで著者たたきのカキコをやってるなんて話より、2をもっときちんと説明すべきです。まあ、それでは読者の食いつきが悪いだろうという編集部の判断か、あるいは自分で判りきっていることは説明が軽くなるという、専門家の悪い癖なのかもしれません。校正や推敲にも甘い部分がかなりありますので、事件がホットなうちに出したいという狙いもあったのでしょう(もっとも、私はこれで、この本はゴーストライターじゃなくて、役所勤めの公衆衛生専門家が書いたものだろうと信じられるようになりましたが)。
さて、マスコミもマスコミで、関西の高校生を吊るしておいて何の反省もないのですからこれまたひどいものだと思うのですが、そちらに対する舌鋒はどうも弱い感じです。大野病院事件などでわかるように、マスコミが医療崩壊の元凶の一つであるのですから、お役所憎しじゃないかといわれないためにもそちらに対する批評もぜひ。
さて、このパニックの最大の元凶は厚生労働省であり、この本は同省の対応を厳しく批判しています。その点得難い本でありますが、他のレビューにもあるとおり、散漫な印象は拭えません。
1a. 厚生労働省のお間抜けな実態
1b. 「新型インフルエンザ」対策のお粗末さ
2. 疫学/公衆衛生学の基礎
3. バイオテロを含んだ感染症に対する対策
の三つ(四つ)がおおよそこの順序で並べてあります。本来なら、少なくとも2と1は順序が逆で、厚労省のお役人がアマゾンやにちゃんで著者たたきのカキコをやってるなんて話より、2をもっときちんと説明すべきです。まあ、それでは読者の食いつきが悪いだろうという編集部の判断か、あるいは自分で判りきっていることは説明が軽くなるという、専門家の悪い癖なのかもしれません。校正や推敲にも甘い部分がかなりありますので、事件がホットなうちに出したいという狙いもあったのでしょう(もっとも、私はこれで、この本はゴーストライターじゃなくて、役所勤めの公衆衛生専門家が書いたものだろうと信じられるようになりましたが)。
さて、マスコミもマスコミで、関西の高校生を吊るしておいて何の反省もないのですからこれまたひどいものだと思うのですが、そちらに対する舌鋒はどうも弱い感じです。大野病院事件などでわかるように、マスコミが医療崩壊の元凶の一つであるのですから、お役所憎しじゃないかといわれないためにもそちらに対する批評もぜひ。