1941年の夏から翌年の夏までの、インドがイギリス支配からの独立に動き始めていた時代を描いた物語。
中盤には「真珠湾攻撃」と題した章もあった。
インドが、日本軍による侵略の危機にさらされていた時代だ。
インドの文化と宗教と独立闘争が鮮やかに細やかに描かれ、そこに、ひとりの少女の成長と初恋が織り合わされて、
なんとも魅力的な物語となっている。少女の父と祖父の言動に、マハトマ・ガンディーの思いが投影されていたように感じるところもあった。
本を読み、学ぶこと。
内なる悩みと希望を文章に書くこと。
何より、風習や制度に負けないこと。
身分や性別にとらわれず、個としての豊かな人生を掴もうとした少女の記録。
今だからこそ、日本の子どもたちに読んでもらいたいと切に思う。
ただし、邦題はもう少し考えてほしかった。たしかに「図書室」への階段だったのだけど、他の意味も込めた「階段」なので。図書館や図書室好きの私ですら、読むのをためらったタイトルだったから、もったいない気がする。

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図書室からはじまる愛 単行本 – 2010/6/12
パドマ ヴェンカトラマン
(著),
小梨 直
(翻訳)
1941年、インド。お嬢さまとして育ったヴィドヤは、父親のけがで生活が一変、苦しみの毎日に。しかし、禁じられた図書室に忍び込んだことから、運命が変わっていく。愛と成長の物語。
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2010/6/12
- ISBN-104560080739
- ISBN-13978-4560080733
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2010/6/12)
- 発売日 : 2010/6/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 260ページ
- ISBN-10 : 4560080739
- ISBN-13 : 978-4560080733
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,349,461位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2010年10月4日に日本でレビュー済み
ヴィドヤという少女が不幸に見舞われながらも、大学に行きたい、学びたい、
という希望を捨てずにまっすぐに生きていく、ヤングアダルトの見本のようなストーリー。
第二次大戦下のインド社会の不自由さや人々の考え方は
まさに異文化ワールド。いろいろ知ることが出来る。
作中、日本軍が攻めてきたからヴィドヤたちは逃げなければならない。
そうか、あの当時日本はインドでも戦っていたのか・・・・・・
とあらためて認識したり。
カーストがはびこり、イギリスに占領されたインドは、
戦前の日本以上に閉塞的で女性にとって辛い世界だ。
とにかく、この本を読んでいると
図書室に自由に入れて好きな本を読めるってホント幸せ〜と、つくづく思ってしまう。
とはいえ、ヴィドヤはカーストでは上位のブラフマンなので、
本当に悲惨な目にはあってないような感じだし、
親戚のおばさんとか学校の先生はとにかく意地悪だったりするが、
親戚の美青年に、いろいろかばってもらえる。
このタイトルのせいで、この美青年の登場に必要以上にドキドキするのだが、
ストーリー自体は全然ラブロマンスではない。
もとの題名の『階段を上って』のほうが良かったのでは?と思った。
という希望を捨てずにまっすぐに生きていく、ヤングアダルトの見本のようなストーリー。
第二次大戦下のインド社会の不自由さや人々の考え方は
まさに異文化ワールド。いろいろ知ることが出来る。
作中、日本軍が攻めてきたからヴィドヤたちは逃げなければならない。
そうか、あの当時日本はインドでも戦っていたのか・・・・・・
とあらためて認識したり。
カーストがはびこり、イギリスに占領されたインドは、
戦前の日本以上に閉塞的で女性にとって辛い世界だ。
とにかく、この本を読んでいると
図書室に自由に入れて好きな本を読めるってホント幸せ〜と、つくづく思ってしまう。
とはいえ、ヴィドヤはカーストでは上位のブラフマンなので、
本当に悲惨な目にはあってないような感じだし、
親戚のおばさんとか学校の先生はとにかく意地悪だったりするが、
親戚の美青年に、いろいろかばってもらえる。
このタイトルのせいで、この美青年の登場に必要以上にドキドキするのだが、
ストーリー自体は全然ラブロマンスではない。
もとの題名の『階段を上って』のほうが良かったのでは?と思った。
2010年12月11日に日本でレビュー済み
わたしも書名は原題の方がよかったと思いました。
一歩足を踏み出した先に未来があるということの象徴として、
原題の方がふさわしいと思います。
白水社にしては、ダサい戦略だなと、ちょっと残念。
一歩足を踏み出した先に未来があるということの象徴として、
原題の方がふさわしいと思います。
白水社にしては、ダサい戦略だなと、ちょっと残念。
2010年7月20日に日本でレビュー済み
物語自体はシンプルで、まっすぐ話が進むのでわかりやすい。そのくせ、「これは何の話?」と聞かれると、一言で答えるのが難しい。読みようによって、親と子の理解と愛の物語だったり、昔の日本のように男女交際が厳しく制限された社会のういういしい恋物語だったり、『小公女』みたいないじめの話だったり、戦争と平和と祖国愛について真剣に考える話だったり、女も自分の収入がないといざっていうとき大変よねーという話だったり、やっぱり読書って素晴らしいよという話だったりする(たぶん、もっといろいろ読み方があるはず)。第一印象で何と答えるかで、自分がいま何に一番関心があるか気づかされる。簡単なようで巧妙に組み立てられていて、さわやかに読み終えたあとで考えさせられる。これがヤングアダルト作品だなんて、なかなか凄い。