本書は日本の農業を巡る課題と方向性を探った意欲作である。
今世界同時不況による混乱の中で、ここのところ小麦やトウモロコシなど食料問題の議論を聞かなくなっているが、著者によればこれから世界的に食糧不足は深刻化が予想されるという。
ところがこの国では、コメの消費低迷を背景に相変わらず減反政策をとり続け、新規参入の制限が大きいために高齢化が進み、耕作放棄地は増え続け、大規模化も進まず、所得水準も低く、疲弊している現場。一方で、食料自給率は減り続け、消費者は安全志向を高めながら、膨大な食料輸入とともに大量の食べ残しを出し続けている。
著者の試案はこうである。
迫り来る国際的な食糧不足の時代を前に、直ちに減反政策をやめ、食糧大増産に舵を切ることである。
そのためには制限し続けている株式会社を含めた多様な農業参入を認め、また単に値上がり期待や転売狙いで耕作もせず保有し続けている農地所有者に対しては宅地並の税金をかけ、農地を放出してもらう。
さらに、世界で初めて先物取引を開始したにもかかわらず、今は認められていないコメの先物取引を開始し、妥当なコメ価格を作り出す。加えて、主要なコメ輸出国は既にその余力は少なくなっているとし、コメ市場を開放しても影響は大きくないとしている。
さらに、品質の良い日本の農産物を輸出する。
などなど、なかなか野心的な意見に肯かされる。
ただ、ポピュリズムへの志向を強める我が国の政治の現状にあって、相当の困難が予想され、このまま日本の農業は、前段で指摘している数々の問題がさらに深まり、収拾のつかないところまで追いやられてしまうのではないかと、懸念される。

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コメ国富論 攻めの農業が日本を甦らせる! 単行本 – 2009/3/21
柴田 明夫
(著)
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA(角川マガジンズ)
- 発売日2009/3/21
- ISBN-104827531404
- ISBN-13978-4827531404
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA(角川マガジンズ) (2009/3/21)
- 発売日 : 2009/3/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 228ページ
- ISBN-10 : 4827531404
- ISBN-13 : 978-4827531404
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,788,832位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 427位外国農業
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